Clubhouseと何が違う? 欧米で大ブームの音声SNS「Airchat」

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Clubhouseと何が違う? 欧米で大ブームの音声SNS「Airchat」
Photo: Dua Rashid / Gizmodo US

一斉を風靡した「Clubhouse」みたいな音声SNSが再び欧米を席巻中。

Airchatは、基本的に招待制(アメリカとヨーロッパには完全オープン、それ以外の国は招待が必要)で、AIが搭載されたXとClubhouseをかけあわせたみたいなシリコンバレー発のSNSです。

AngelListの創業者であり、著名な投資家であるNaval Ravikant (ナヴァル・ラヴィカント)と、Tinder の元製品責任者 Brian Norgard(ブライアン・ノーガード)によって2023年に立ち上げられました。立ち上げ当時は有名になりませんでしたが、4月中旬に新バージョンのアプリがリリースされたことで人気爆発、招待制限がかかったほどでした。

日本ではまだ流行の兆しはまだ見えていませんが、Gizmodo USより、このAirchatのについての考察をお届けします。

Airchatってなに?

Airchatは音声のみのSNSで、要はテキストではなく音声オンリーのTwitterような感じです。プラットフォーム上のすべての投稿やメッセージは音声メモで、ユーザー同士で一対一で話すことも可能ですし、全てのユーザーが参加可能なライブ配信スタイルのスレッドを開始することができます。

Airchatは(しつこいですが)音声のみで、テキスト入力のオプションはありません。ただし、全ての音声メッセージはAIで書き起こさられるため、アプリ上にテキストも表示されます。ビデオのオプションもありますが、あまり使われていないようです。

Airchatの良いところ

会話を人間味のあるものにしようとしているところはとても良いと思います。私達はずっとキーボードの後ろに隠れていたわけで、そこから抜け出せるのは素晴らしいことだと思うからです。

考えていることを途中でまとめるために、録音を一時停止/再開する機能を要望するユーザーもいますが、個人的にはそのような機能はない方が良いと思っています。それがないことでフィルターが通されていない、音声の生々しさが伝わるからです。

このアプリを使うようになってからより自信をもって話せるようになり、「えっと」「そうですね」のようなつなぎ言葉を使わないようになった、というユーザーもいます。これは同感です。自分がいかに「like(〜のような、みたいな)」を使いがちか、気付かされました。

そして次に大切なのはアクセシビリティ。Airchatは、手に力が入らない、手を怪我をしているなど握力に困難がある方にとって、キーボードを使う必要がなくコミュニケーションできるのは大きな利点だと思います。また音声を前提としているので、視覚に障害がある方も同じようにコミュニケーションできるのは良いですよね。

さらに注意力散漫な人にとってもこのアプリは役に立ちそうです。私自身も注意力散漫で、映画を最後まで座って見ることができないタイプなのですが、このAirchatを通じてコンテンツを消費するのはとてもラクなことがわかりました。

その理由は、コンテンツが小分けになっているから。ClubhouseのようなPodcastスタイルのコミュニケーションとは異なり、短い音声メモがメインです。またライブ配信中でも、書き起こされた文字が読めるため、特定の音声メッセージがどのくらいの長さで、どのくらいの部分がカバーされているのかも一目瞭然。書き起こしは映画の字幕のように表示されるので、集中力を維持できて、音声メッセージで逃した内容を補足できます。

Clubhouseより、Airchatの方が会話のハードルが低いのも大きな違いだと思います。誰に対しても音声を録音して送るだけで返信ができるので、アクセスしやすくとってもインクルーシブ(包括的)です。

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Airchatで録音しているところ
Screenshot: Dua Rashid / Gizmodo US

Clubhouseでは、挙手して発言許可を得る必要があります。挙手して発言した後は、再び「聞き専」のオーディエンスに降格されたりします。Airchatはインクルーシブで平等な仕様なので、「降格させられてしまう」といったストレスもありません。

Airchatの不明なところ

ここから「嫌いなところ」ではなく、まだよくわかっていない不明なところを指摘していきます。

まず、アプリそのものが認めている通り、音声メモを残すTwitterみたいなもので「今までにない画期的なもの」とは言い難いです。もちろん多くの利点はありますが、今後めちゃくちゃブレイクするかというと懐疑的に感じています。

また、書き起こしが非常に優秀で極めて正確なので、聞くよりも読むほうが便利な場合も多く、アプリの本来の目的を台無しにしている説もあります。

音声を聞く行為は、テキストをざっと読む行為よりも明らかに時間がかかりますよね。結局は聞くよりも読むほうが早いので、目でフィードを追うようになります。これは自分だけかなと思っていましたが、ほかのユーザーも同様でした。そのユーザーによると、アプリを開く40%は聞くよりも読んでいるとのことです。

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Twitterのようなフィード
Screenshot: Dua Rashid / Gizmodo US

アプリで音声をミュートして、読み取り専用にできるのは完全に便利。音声は最大3倍速で再生できますが、どうしても読むほうが早いので、読んでしまいます。

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右下の3倍速と一時停止オプションで、音声を速めたりミュートしたりできます
Screenshot: Dua Rashid / Gizmodo US

音声メッセージが常に都合が良いわけではありません。ほとんどの人はスマホから音が出るのを好まないし、常にイヤホンやヘッドホンを付けているわけではありません。フォローしている他人の音声を家族や友人に聞かれるのもなんとなく抵抗がありますよね。これも結局「聞く」より「読む」になってしまう原因だと思います。

音声SNSであるにも関わらず、音声の書き起こし機能が充実していたり、ミュートできたり、音声を使わないオプションも多数用意されています。結果、テキストベースのSNSとの差別化が微妙になっているような気がします。ユーザーにインクルーシブさとアクセシビリティ、柔軟性を提供している点は評価していますが、本来の目的を見失っているようにも感じます。

今現在は欧米を中心にユーザー数が爆発的に伸びているようですが、日本ではまだまだこれからといったところでしょうかね。

「Clubhouse」が招待制を廃止。誰でも参加できます

音声SNS「Clubhouse」が招待制をやめて誰でも参加できるように。順番待ちユーザーも徐々に入会可能になる模様。

https://www.gizmodo.jp/2021/07/clubhouse-has-dropped-the-invitation-system.html