テイラー・スウィフトの一部楽曲がTikTokに“復活”、最新アルバムの利用はどうなる?

テイラー・スウィフトの楽曲の一部がTikTokに“復活”した。ユニバーサル ミュージックとTikTokとの契約をめぐる争いで同社の楽曲は利用できない状況が続くが、これは最新アルバム『THE TORTURED POETS DEPARTMENT』の楽曲も利用可能になる前触れなのか。
Taylor Swift smiling while holding a guitar and performing on stage
2024年3月2日にシンガポールのナショナル・スタジアムでコンサートを実施したテイラー・スウィフト。Photograph: Ashok Kumar/Getty Images

TikTokとユニバーサル ミュージック グループ(UMG)との間で長引いている契約をめぐる争いにおいて、注目すべき措置がテイラー・スウィフトのために講じられた。最新アルバム『THE TORTURED POETS DEPARTMENT』のリリースを1週間後に控えた4月11日(米国時間)、スウィフトの楽曲の一部をTikTokサウンドとして再び利用できるようになったのである。しかし、彼女の公式楽曲を復活させるためにどのような取り決めがなされたのか、いつまでTikTok上に残るのかは、まだ不透明なままだ。

スウィフトのファンでTikTokクリエイターのマデリーン・マクレーは11日朝にこのニュースを聞き、デマではないことを確かめるために、すぐTikTokとGoogleで検索を始めた。「曲が(TikTokに)が戻ってきたことを本当にうれしく思っています。これでスピードアップ版や編集版に頼らずに済みますから」と、マクレーは言う。「彼女の本物の曲を使うことができるんです」

エンターテインメント業界誌『Variety』が最初に報じたように、現時点でコンテンツクリエイターたちは「Cruel Summer」「cardigan」「Style (Taylor's Version)」などの曲を、TikTok上で使用できるようになっている。

マクレーは新しい動画でスウィフトの曲を使えることに興奮しているだけでなく、TikTokに投稿した過去の動画でもスウィフトの曲の“ミュート”が解除される可能性があることにも感謝しているという。「(曲が)ミュートされているとバカげて見えるので、削除するか残しておくか迷っていたんです」

UMGの楽曲がTikTokから削除されたのは、今年1月のことである。このとき多くのクリエイターたちは、特定の楽曲を使った過去の動画のアーカイブが一夜にして無音になる様子を見て、唖然とたのだ。

契約の問題は、いつ決着する?

今回の動きは、アルバム『THE TORTURED POETS DEPARTMENT』の曲をTikTokの動画で使えるようになることを意味するのだろうか?

実際にどうなるかは不透明だが、マクレーは期待している。「この動きはテイラー・スウィフトの力を示すものでもあると思います」

こうしたなか、UMGのもうひとりの主要アーティストであるビリー・アイリッシュは、次のアルバム『HIT ME HARD AND SOFT』のプロモーションを間もなく始める予定だ。アイリッシュの楽曲もTikTokで再び使えるようになるのか、それを知るにはアルバムの発売まで待たなければならない。

UMGのほとんどのアーティストが10週間近くTikTokから姿を消したことで、TikTokでのユーザー体験は大きく変わった。そしてビヨンセなどのUMG以外のアーティストにとっては、TikTokのアルゴリズムによってバズるチャンスが開かれたのである。

TikTokとUMGの間で長引いている契約上のいざこざにいつ決着がつくのかは、いまだに謎のままだ。世界最大のレコード会社のひとつであるUMGがTikTokから楽曲を引き上げたことは、多くの定番アーティストだけでなく、新人アーティストたちのキャリアにも影響をもたらしている。

また、すでに複数のアーティストがUMGの今回の動きについて不満を表明し、その理由としてマーケティング計画の混乱やオーディエンスへのリーチの減少などを挙げている。UMGの広報担当者にコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。

結局のところ2社の間で何が起きているのかに関係なく、TikTok上のスウィフティー(スウィフトのファン)たちはニューアルバムを祝うリスニングパーティーの準備をしながら、スウィフトの楽曲が戻ってきたことに感謝している。

「金曜の夜の予定はもう決まっています」と、マクレーは言う。「友達と一緒に過ごし、ワインを飲みながら、このアルバムを聴くだけです」。まさにソーシャルメディアらしい夜になりそうだ。

(Originally published on wired.com, edited by Daisuke Takimoto)

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